17日目 台中-苗栗

2010年02月03日 くもり

台湾地図 台湾には、夜市、小吃と呼ばれるB級グルメ、食べ放題という3つの宝物があります。僕の自転車旅行には3つの「ない」があります。牽引しない、車や列車に乗らない、あきらめない。この「3ない政策」をかかげ、台湾一周に挑んできました。一番過酷だった東部の蘇花公路を走っている時も、リン・チーリンがセクシーに誘ってきても、いまだ破られたことのない3ヶ条です。

余裕で台中出発

 今回台中では撮影サービスを宿泊費として宿を探しました。数軒の民宿が名乗りを上げてくれて、どこの民宿を選べばいいのかわからなくなってしまったほどです。でもいざ出発という頃になって、オーナーが国外に行くとか水漏れが・・・とか色々問題が出てきて、結局自腹で宿泊することになってしまいました。泊まったのは「台灣合作社聯合社 台中會館」。名前は長い上に全然いけていませんが、快適に過ごせました。

 一番安いシングルルームは、坪数2~3とかなり狭いです。トイレが半分占めています。ベッドと化粧台を置いたらもう満杯。気のきいた豪華な設備はありません。でもテレビはあるし清潔だし、1泊たった640元なので、そんなに文句は言えません。

 今朝はいつもより遅めに起きました。今日は苗栗の南庄まで(約80キロ)進む予定です。百戦錬磨の僕にとってはこの道のりも朝飯前。南アフリカでもどこでも、自転車で行ける気がします。
 なのでちょっとダラダラしてから、余裕たっぷりにのんびりと台中市を出発し、苗栗へ向かい始めました。時間はたっぷりあるけど、台中市の道は只者ではありません。10数キロの短い道で、僕はなんと迷子になってしまったのです。道を探しましたが、しばらくしてから自転車を降り、コンビニでコーヒーを買い、かわいい店員さんにメルアドを聞きました。こうして休んでからようやく渋々自転車をこぎはじめました。

 台中を出たら、台13線を北へ向かえばいい。別になんてことないと思っていました。これが悪夢の始まりであることなど思いもよりませんでした。苗栗は起伏がある地形なのに、僕は平らで走りやすい海沿いの台1線ではなく、山道の台13線をルートに選んでいたのです。苗栗で有名な火炎山は、険しい地形で知られています。上って上っても終わらない山道に閑散として冷ややかな道路。そして不安定な天気。僕はこれから自分を呪いながら旅をすることになるのです。

  • 民宿
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  • 民宿
  • 民宿
  • 工事中
  • 工事中
  • 台中市内
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ルート変更

 走っていると、花がきれいに咲いていたり、かわいい犬に出会ったりします。でも台13線のせいで疲労困憊している僕は、他のものを気にしている余裕がありません。奮闘すること数時間。70キロちょっと走ったでしょうか。やっと苗栗エリアの入り口に到着しました。この時は空腹で、喉も渇いてて、疲れきっていました。マックに行って椅子に座ってハンバーガーやポテトにかぶりつきたい。ふわふわと妄想に浸っていると、鋭い声に現実の世界から引き戻されました。

 「兄ちゃん!台湾一周中?どこ行くの?」
 そこには全身バッチリきめたマウンテンバイカーが立っていました。シュッとした雰囲気だし、高い自転車に乗っているし、お尻の締まり具合からして、このおじさんは自転車歴が長いに違いないと思いました。
 「そうなんです。今台湾一周旅行中なんです。今日は南庄まで行くんです!!」
 「南庄かぁ。近いよ!道わかる?オレは近道知ってるけど、でもちょっと難しい道なんだよ。行けそうだったら案内するけど。」

 サンシャインボーイの僕を甘く見てはいけません。この旅もそろそろ終わり。難しめの道と聞いてひるむ僕ではありません。行くと言ったら行くし、案内してくれるならついて行きます。サンシャインボーイの爆発力はすさまじいのです。

 こうして僕はその人の後について近道を行くことになりました。街中から山の方まで来て、バカみたいに自分はいけると見せてやりたいだけなのです。しかし、やっぱり物事はそう簡単にはいかないものです。おじさんの言葉は本当でした。近道は確かに走りにくい道でした。水もなく、食べ物もなく、山の空気は次第にひんやりとしてきて、空は段々暗くなってきます。再びお腹が空き、喉も渇き、寒さを感じ、でこぼこの山道を懸命に走りました。阿美が重く感じられます・・・。

  • 火炎山
  • 火炎山
  • 山への道
  • 山への道
  • 公衆トイレ
  • 公衆トイレ
  • 色鮮やかな花
  • 色鮮やかな花

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 「おじさん!!あとどれくらいですか?」
 「お~、そんなに遠くないよ~。あと山を2つ越えたら着く。」
 「えっ!!山2つ!!冗談はやめてください。もう夕方5時だし、僕は水も食べ物も体力もなくなってるんです。今、たとえ中華饅頭2つ超えろって言われても無理です。僕戻ります。」
 「だめだよ。戻るのも時間がかかるよ。回り道しないといけないし。夜遅くまで走り続けられないの?」
 「・・・」

 心の底から不本意ではありますが、一度乗った船。やりとげるしか道はありません。この時は、もしかしたらこのおじさんはキツネで、僕は騙されているんじゃないかと本気で疑いました。このキツネは僕を人気のない山の上に誘い出して、そこで・・・。

 時間が経つにつれて、さらに空腹感が増してきました。おじさんはずっと励ましてくれていたけど、僕は頭がくらくらしてきて、足が段々重くなってきて、持っているもので食べられるものは全て口に放り込んだけど、やっぱり血糖値が下がってきてるようでした。山の中を飛び回っているサルを捕まえて料理したらきっとおいしいに違いないと考えていました。そしてついにウトウトしだしてしまいました。おじさんはそんな僕を見て太ももを叩いたり、話しかけてくれました。ここで寝てしまったら、永遠に目を覚まさない可能性もあるからです。

  • 苗栗への道中
  • 苗栗への道中
  • 苗栗への道中
  • 苗栗への道中
  • 苗栗への道中
  • 苗栗への道中
  • 苗栗への道中
  • 苗栗への道中

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3ない政策

 初めてお給料をもらった時の喜び。クラスメートの女の子にお尻を触られた時の恥ずかしさ。子供の頃から今までの思い出たちが走馬灯のように流れて行きます。思い出が全て出尽くすと、山の向こう側に一筋の光が見えました。こっちへ来いと僕を呼んでいます。まずい、これはやばい。あっちに行ったら僕はもう終わりだ。そんな時、おじさんが客家菜包を2つ持ってきて、大急ぎで僕の口の中へ放り込んでくれました。そして僕の大好きな花生糖もくれたのです。

 こうして、僕は客家菜包に助けられました。涙と鼻水を流しながら、僕はみんなの優しさに感謝していました!!そして自分の連絡先を渡しました。将来何かあった時には、僕が必要な時には、仕事のことでも恋愛のことでも、お金を貸すこと以外ならなんでも力になります。

 体力は戻りましたが、道はまだまだ続きます。今日は南庄まで行けそうにありません。僕は南庄の民宿にお詫びの電話を入れて、おじさんの言うがままおじさんの友達の軽トラックに乗り、阿美と一緒に苗栗のおじさん所有の空き家まで行き、一晩休むことにしました。この日は、たくさんの人に助けられました。そして僕の「3ない政策」はついに破られてしまいました。車に乗り、阿美も牽引してもらい、自分で掲げた目標もあきらめてしまったのです。でも気にしません。人生って素晴らしい!!

  • ここはどこ?
  • ここはどこ?
  • おじさん
  • おじさん
  • 客家菜包(イメージ)
  • 客家菜包(イメージ)
  • 花生糖(イメージ)
  • 花生糖(イメージ)

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17日目のADIAデータ

走行距離
80.4km
消費総額
死にかけていたのでメモしていません。