2017年9月13日

高雄哈瑪星老街に残る忘れ去られた時空 書店喫茶一二三亭

※台北日和の記事は遡及調査をしていないので、現状と異なることがあります。
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かつて日本料亭だった建物

かつて日本料亭だった建物

お店の入口

お店の入口

黑咖哩雞肉飯

黑咖哩雞肉飯

蜂蜜冰淇淋煎餅

蜂蜜冰淇淋煎餅

店内で閲覧自由な書籍

店内で閲覧自由な書籍

店内の様子

店内の様子

2階フロア

2階フロア

 高雄地下鉄西子湾駅は以前、高雄港駅と呼ばれており、ここから鼓山漁港までの一帯は日本統治時代に埋め立てられ、高雄で最初に行われた都市計画エリアでした。当時は「新濱町」という地名で、ここには政府機関、商社、通関業者、船舶会社、レストランなどが集まる高雄の政治、文化、経済の中心地と言える場所でした。その当時、高雄港駅から港を繋ぐ鉄道の支線「濱線(Hamasen)」があり、台湾語で当て字を付けて「哈瑪星(Hamasen)」と呼ばれるようになったことから、このエリアの地名の由来になりました。「書店喫茶一二三亭」は、この歴史ある街の東側の通りにあります。

 初めてお店の建物を見ると、とても不思議な感覚があり、中華式三合院の構造の赤レンガの壁、日本式の木造の傾斜のある屋根、そして洋式のベランダなど、大きな変化のあったいくつもの時代を経験してきたことを静かに物語っているかのようです。入り口の暖簾をくぐって階段を2階まで上がると、古いソファーが目に入り、客間のような空間になっています。レトロな装飾品が置かれ、何だか忘れ去られた時空の中に帰って来たかのような気分になります。右側の花柄模様のガラスが付いた木の扉を押し開けると、純喫茶を思い起こさせるような空間が広がり、深いコーヒー色の家具が白い壁に映え、穏やかで静かな気分にさせてくれます。

 傾斜のある屋根の木の梁からは、日本家屋の雰囲気が十分に感じられます。梁の上の中間に掛けられた色鮮やかな「幣串(へいぐし/上棟式で用いる飾り)」は、3年前にお店をオープンする際、この建物が94歳を迎えたことを祝うため、わざわざ日本から買って帰ってきたものだそうです。店長の陳さんは、取り壊される運命にあったこの歴史的な建築を救うため、2012年からこの場所を借り続け、書店兼喫茶店にリノベーションしました。元々、天井板があったのですが取り外してみたところ、この建物の上棟式の際、梁に縛り付けられた木の棒を発見しました。するとそこには大正9年(1920年)と書かれており、なんとこの建物には100年近い歴史が秘められていたことがわかったのです。

 1920~1945年の日本統治時代、ここは「一二三亭(ヒフミテイ)」という日本料亭で、当時は芸妓が出入りするような希少な高級料亭でもありました。第二次世界大戦時の米軍の爆撃を運よく逃れ、戦後は船会社のオフィスとして利用されていました。高雄港が移転した後、誰にも管理されず荒廃の時が過ぎ、2012年に政府が古い家屋を取り壊ししようとしている計画への反対運動として、現在の古い家屋の歴史を伝える書店兼喫茶店になりました。入り口の右側の本棚には中国語の本や日本語の本が置かれています。多くの書籍は店長が台湾や京都の古本屋で探してきたもので、すでに絶版の歴史の論述書や有名な著書など、店内での閲覧が可能です。その他、お店の真ん中には商品の棚があり、ハンドメイドのアイテムや書籍等を販売しています。さて、さっそく入り口の暖簾をくぐり、時間の扉を通り抜けて、未知の世界に足を踏み入れてみましょう!

 レトロな空間以外、「書店喫茶一二三亭」の食事メニューも非常に特色があり、飲食学専攻出身の店長がこの喫茶店のために作り出した料理やドリンクが揃っています。「抹茶咖啡(抹茶カフェラテ/140元)」は、漏斗のような形をした背の高いグラスに、ドリンクを緑、白、茶色の層になるように注ぎ込んでいます。最初はエスプレッソを楽しみ、次にかき混ぜて飲めば、抹茶とコーヒーが素晴らしく融合した視覚と味覚で楽しめるドリンクです。「穀雨(台湾クラフトビール)」は、特別な味わいのクラフトビールで、醸造の際に台湾高山ウーロン茶を加えています。ベルギー酵母の独特な甘みの中に、濃厚な麦芽とウーロン茶の味わいがあります。瓶の内には酵母が残されているので少し濁った色をしており、酵母の香りにそそられる特別なビールです。この台湾製ビールは、2016年に日本国際ビール大会「IBC」にて銅メダルを獲得しました。

抹茶咖啡

抹茶咖啡

台灣精釀啤酒

台灣精釀啤酒

 日本海軍の船上で作る料理から発想を得た「黑咖哩雞肉飯(黒カレーチキンライス/240元)」は、ネーミングにもそそられます。店長は当時の海軍のレシピを訪ね、その後研究を重ねて、オリジナルのこのメニューを作り出しました。濃厚な黒カレーと柔らかジューシーな鶏肉、ライスは台湾のインディカ米をセレクトしています。このインディカ米は意外にもとてももちもちしていて、付け合わせの豆腐と山芋のサラダとよく合います。思わずおかわりしたくなるようなおいしさですよ。「紅酒燉牛肉飯(赤ワインビーフシチュー/240元)」も人気メニューの一つで、じっくり煮込む過程で赤ワインの味わいは飛んでいきますが、果物の良い香りが残り、ソースの中に溶け込んでたまらないおいしさです。店長は半年ごとにメニューを変えており、次々と新しい料理も登場します。今回紹介した看板料理でもあるこの2つのメニューは、これからも続ける予定だそうなので、食べてみたくなった方も心配ご無用ですよ!

 デザートメニューにはパンケーキがあり「蜂蜜冰淇淋煎餅(はちみつアイスクリームパンケーキ/160元)」は、岡山の養蜂場の蜂蜜を使用しています。こげ茶色のパンケーキは焼き加減が絶妙で、バターを上に置いて、たっぷりの蜂蜜をかけていただきます。添えられたアイスクリームにもよく合い、口の中で様々な食感と蜂蜜の自然な甘みが溶け合います。ドリンクメニューのコーヒーや台湾茶と一緒にオーダーするのにピッタリですよ。

 「書店喫茶一二三亭」は、気分を落ち着かせてくれる空間で、地元の文化復興のゆりかごにもなっています。夜には各種講座や作家の新書発表会などに使用され、1階は芸術家のアトリエとしても貸し出しています。また、他のエリアも文化復興を担っているグループ「打狗文史再興會社」のオフィスとしても使用されています。
(記者:Shimin)

地図

【書店喫茶一二三亭】
住所:高雄市鼓山區鼓元街4號2樓
電話:07-531-0330
営業時間:10:00-18:00
定休日:無し
交通:高雄地下鉄西子灣駅2番出口より徒歩約5分
URL:https://ja-jp.facebook.com/cafehifumi/

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