2017年10月17日

太平洋の岸辺に広がる棚田アート 花蓮米粑流湿地アートフェスティバル

※台北日和の記事は遡及調査をしていないので、現状と異なることがあります。
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輕輕落下的種子

輕輕落下的種子

大地的臉孔

大地的臉孔

Panokay to!回家吧!

Panokay to!回家吧!

故事開始的地方

故事開始的地方

網洞捕獲

網洞捕獲

謝謝你把我種下

謝謝你把我種下

躲在樹蔭下吹海風

躲在樹蔭下吹海風

 台湾で2015年に上映された映画『太陽の子』(原題:太陽的孩子)を覚えていますか?花蓮縣豐濱郷港口にある集落を舞台とした作品で、この集落をもっとよく知りたいという探究心が芽生えた人もいたのではないでしょうか。今回3年ぶりに集落のアートフェスティバルが開催されています。これは絶対に逃せないチャンスですよね。

 2017年の「花蓮米粑流濕地藝術季(花蓮米粑流湿地アートフェスティバル)」は、7月1日から開催されています。休耕時の水田が風景アート創作の場となっていて、10月末まで展示されます。棚田間に大型の風景アートが出現し、真っ青な空と無限に続く海岸線が見事にマッチしていて、壮大な美学を感じずにはいられません。「米粑流」とは、アミ族語で「助け合い」という意味があります。2017年の「花蓮米粑流濕地藝術季」は、まさにこの精神をモットーとし、豐濱郷の豊かな湿地と静かで美しい集落の物語を、創作のインスピレーションにしています。

 今回のイベントには11組のアーティストが招かれ、一ヶ月間村に滞在し創作しています。その半数は港口集落の地元アーティストです。薩部•葛照(サプッド・カカウ)さんは、鉄筋、木材、流木、竹などの材料を使用し「輕輕落下的種子(優しく落ちる種)」を創作しました。この種の中は座って休憩できるようになっています。この種に座り、水田などの風景を眺めると、生命のすばらしさを実感することができるでしょう。種が優しく落ち、根を生やすのに適切な場所を見つけ、美しく成長するように、自然は循環しながら、万物は相互に作用しているのです。

 拉飛•邵馬(ラフィン・ソウマ)さんは、流木を利用して「大地的臉孔(大地の顔)」を創作し、大地の声に耳を傾け、母なる地球を護ろうと呼びかけています。陳勇昌さんは、竹、鉄筋を使用し陶器壺型の涼亭を創作しています。「Panokay to!回家吧!(家に帰ろう!)」という名がつけられていて、陶器壺の破片の組み合わせによって、決心、人と人との関係の再構築、人と先祖のリンク、人と自然の依存を表現しています。また、陶器壺傍には釣竿が設置されていて、集落の伝統技術の蘇りを象徴していて、アミ族の人々に「Panokay to!回家吧!(帰ってこい!)」と叫んでいるかのようです。

 「故事開始的地方(物語が始まった場所)」は、二人のアーティストによる共同創作です。新しい鍬を、集落の家々に置かれていた古い鍬と交換しました。鍬には新しい鍬を手にした人々の名が書かれていて、更にQRコードも張られています。携帯をかざすと鍬の持ち主が語る物語を聴くことができます。

 饒愛琴さんの「網洞捕獲」は、鉄筋、縄、布を使用して洞窟を表現しています。この布には、集落の実際のライフスタイルが印刷されていて、集落の現在、過去、未来までを捉えています。

泥塑聖殿

泥塑聖殿

向祖靈致敬

向祖靈致敬

 安君實さんは、竹、流木、鉄筋を使って感謝を表す種を創作しています。作品名は「謝謝你把我種下(私を優しく植えてくれてありがとう)」です。部族が土地とのつながりを忘れず、以前荒れていた水田に再び活力を与え、同時にこの土地の人々の生活を豊かにしていたことに対しての感謝を表現しています。

 伊祐.噶照(イヨー・カカオ)さんは流木と部族がよく使用していたキャンバスで、「躲在樹蔭下吹海風(木の下で海風を感じよう)」を創作しました。この作品はこの土地で汗水たらして働く部族にささげています。すべての人が、磯の香りあふれる海風を十分に感じ、汗水と辛さを風が持ち去ってくれるようにという願いが込められています。

 特筆すべきは、今年、二人の外国人アーティストが招待を受け参加していることです。スペイン出身のアルバーロ・トゥルゲーダ(Alvaro Trugeda)さんの作品「泥塑聖殿(クレイの聖殿)」は、竹、クレイ、野草で文化伝承を感じることができるシンプルな空間が作り出されています。聖殿と名づけられているのも、人々に大自然との関係を深く考えて欲しいという意味が込められているからです。

 ハンガリー出身の女性アーティスト、エバ・ブブラ(Eva Bubla)さんの作品は、石梯坪エリア(石梯郷の南側にある場所)に展示されています。地元の自然と社会環境、文化アイデンティティを表現したインスタレーションです。そのため、作品は「向祖靈致敬(祖先への賛辞)」と名づけられています。巨大な筌(魚を捕獲する漁具)は、港口集落八大年齢階層を表す8本の竹柱で表現され、地面にしっかりと立っています。部族による編物や、祖先へのメッセージが吊るされていて、観覧者に昔を懐かしみ、そして今を深く考える場所を提供しています。

今年のアートフェスティバルのテーマは、「互助而後美好(助け合いのすばらしさ)」です。日本の「里山イニシアチブ」を由来としたコンセプトのもと、人と人、生態と自然との共存概念を表現しています。原住民の文化は台湾ではとても特殊で一般とは異なる部分があります。集落文化を理解することで人と自然、個人とグループとの関係を再構築させてくれます。そして、アートフェスティバルは、水田などの風景と融合することで、更に観覧者が石梯坪の稲作が育む精神を理解できるよう願っています。集落文化をより深く知り、異文化間の交流や自分との対話を促すきっかけになるにちがいありません。伝統と現代のバランスをみつけるためにも、ぜひ台湾東海岸を訪れてみてくださいね。
(記者:Shimin)

地図

【花蓮豐濱鄉港口部落】
住所:花蓮縣豐濱鄉港口部落石梯坪梯田區
電話:03-832-5141(林務局花蓮林區管理處)
営業時間:2017.07.01~10.30 イベント期間終日
定休日:無
交通:台湾鉄道花蓮駅から花蓮客運「1145花蓮—成功」「1140花蓮—靜浦」「1127花蓮—台東」に乗車し、石梯港駅で下車、南へ徒歩5分
URL:http://www.mipaliwarts.com/index.php?lang=tw

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