収蔵品の紹介

※展示の収蔵品(書)は4年に1度入れ替えを行い、40日間展示されています。


寒食帖

寒食帖

 作者の蘇軾(1036~1101)は四川省出身。字は子瞻、号は東坡。芸術界では、蘇東坡の名の方が有名です。北宋の政治家でしたが文学を通じ朝廷を風刺した罪で、二度も流罪されてしまったりと波乱の人生を送りました。

 彼の政治家としての人生は浮き沈みが激しく、苦しみの方が多いと言われるほどでしたが、詩や書をたしなみ、芸術家としては不屈の地位を築き上げました。この寒食帖には、人生に対する憤りと悲しみ、そして未来に対する失望が表されており、見る者の心を打ってやみません。

 書の世界では、蘇東坡の字は手本中の手本として絶賛されています。字のリズムや流れ、行間を自由自在に操り、情緒が見事に現されている作品ばかりなのです。中でもこの寒食詩は、最高の出来栄えと賞賛されています。
 字の大小により、作者の悲しみに満ちた心情が見事なまでに表現されており、百年に一枚出るか出ないかの絶品として高く評価されている必見の作品です。


自敘帖

自敘帖

 唐の時代の僧侶、懐素は幼い頃から仏門に入りましたが、性格は実に大胆で粗放。お酒も大好きで、よく酔っ払っては書を書き散らしていたとのこと。しかし、その思いのままに書き殴った書が、当時の垂涎の的となり人々は争ってその作品を求めたそうです。

 懐素の一見豪放な、しかし謹厳な書法に裏づけられた草書の一種、「狂草」書法は、大文豪である李白もこれぞ精妙と称えたそう。この「自敘帖」は、名士から送られた詩と序を「狂草」で書きづつった逸品中の逸品です。

 「狂草」の特徴はその自由奔放さ。この作品にはその特徴がはっきりと表れており、筆跡は軽く、重く、細い筆が思いのままに紙の上を走り去った様が、明確に読み取れます。一定の筆法を守りながらも、暴風雨のような力強く荒々しい熱情が感じられる、草書芸術の極致といえる作品です。


平安,何如,奉橘三帖 卷

平安,何如,奉橘三帖 卷

 この作品は双鈎郭填という書法が採用されています。双鈎郭填とは、透明あるいは半透明の紙で原作を覆い、先ずは双鈎字の輪郭を、そして遂一筆で墨を入れていく方法。硬黄紙が使用されており、三封の短い手紙で構成されています。

 一封目の「平安帖」は、行書と草書を組み合わせて書かれています。一方、第二封の「何如帖」と第三封の「奉橘帖」は行書で書かれています。この三封の中では特に「平安帖」の筆の動きがダイナミックであり、さまざまな技法が凝らされています。逆に「奉橘帖」は抑えの効いた筆の動きですが、変化に富んでいることは同様。このため「何如帖」が比較的落ち着いた作風となっています。

 「書」は中国が誇る文化であり、文字を書いて残すということだけを目的としているのではなく、芸術の極みと言えます。
 この作品の作者である王羲之は、書道の大家であり、また革命家でもあります。後の世への影響は非常に大きく、「草書の聖人」と賞賛されています。彼の作品の中でもこれらの書は突出しており、王羲之が創造した優雅な風格を持つ筆の動きが存分に味わえます。


前のページへ    次のページ    ページのトップ