龍羽老師の台湾開運の旅|台北遊透隊|旅々台北

  • 店名:
  • 烏山頭水庫風景区
  • 住所:
  • 台南市官田區嘉南里68-2號
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  • tel:
  • 管理事務所:
    06-698-2103

八田與一というエンジニア

皆さんは八田與一という人を知っていますか? 今回はちょっと真面目なレポートです。

せっかく台南まで足を延ばしたのなら、日本人としてぜひ訪れてもらいたい場所があります。それが今回ご紹介する「烏山頭水庫(ダム)」。「えっ?ダム?」はい、あのダムです。では、まず、簡単に「烏山頭水庫(ダム)」について紹介しますね。

時は、日本が台湾を統治していた大正時代のお話。この頃の嘉南平原(台湾の南部、彰化県、雲林県、嘉義県、台南市、高雄市にまたがる一大平原)は、夏は雨が多く洪水が多発し、冬はたびたび干ばつに襲われるため、人々の生活は厳しいものでした。そこで、一人の日本人技師・八田與一氏が、この地にダム工事の施工と運営の指揮を執るためにやってきたのです。

八田技師は、1886年(明治19年)石川県河北郡花園村(現在の金沢市)生まれ。東京帝国大学工学部土木科を卒業すると同時に、台湾総督府の土木技師として、台湾に赴任しました。八田技師は下水道、発電、灌漑工事などインフラ整備に関わり、若いながらも水利事業では、かなりの実績をあげていました。

そして、台湾南部の調査をした八田技師は、嘉南平原にダムを造り水路を張り巡らせば、洪水も干ばつも解消され、およそ15万ヘクタール(琵琶湖約2.2個分)の肥沃な農地をつくることができる、という壮大な計画をたてました。その計画は実行に移され、1920年(大正10年)から1930年までの10年の歳月をかけて、巨大ダムは無事に完成されたのです。

結果、嘉南平野一帯に水路を網の目のように張り巡らせ、嘉南平原を不毛地帯から肥沃な穀倉地帯に生まれ変わらせることに成功したのです。八田技師は、この10年の間、全生活をダム建設に捧げ、また、日本人台湾人の分け隔てなく接したことなどから、多くの人に慕われたそうです。

さて、現在はこの烏山頭ダムの周辺は「烏山頭水庫風景区」として開放されています。そこで、ここにぜひ日本人の皆さんにも訪れていただきたいわけです。

愛される日本人

風景区内には、ダムがまるで自然の湖のように存在し(きれいなグリーンで珊瑚湖と呼ばれている)、ホテルやプール、キャンプ場なども整備され、憩いの場となっています。

そして、ダムの横には八田與一の銅像が立っています(いえ、座っています)。気取らない性格だった八田技師は、威厳のある銅像はイヤだ、ということで、よく工事現場を見ていた時の座り込んだ格好が採用されたそうです。銅像の後ろにはご夫婦の名前が刻まれた墓石がダムを見下ろすように建てられています。

八田技師は1942年5月8日に乗っていた船が米軍により撃沈され亡くなられました。亡くなって70年も経つ現在でも命日には、現地の人々による慰霊祭が開催され、日本から八田氏の子孫をはじめ多くの日本人はもちろん、台湾の歴代総統も参列しているのです。

なお、夫人の外代樹さんは太平洋戦争が終わった1945年9月1日、夫を後追いするように、烏山頭ダムの放水口に投身自殺をしており、美談として語り告がれています。実は、今年(2013年)の9月1日には「八田外代樹夫人銅像除幕式」が執り行われる予定で、夫人の故郷・金沢から250名を超す人たちの参列が予定されています。建立予定地は復古宿舎の庭園内だそうです。

区内には「八田技師紀念室」があり、彼の残した偉業に対する資料や遺品、写真などが展示されています。 また、ダム近くの「八田與一紀念公園」には、資料館に隣接して、当時の八田技師と他3人の日本人のための宿舎4棟及び庭園が復古版として再現され作られています。

家屋内への立ち入りは案内の時間が決まっていますが、それ以外でも建物の外から畳敷きなど中の様子は見ることができます。今は日本でもほとんど見ることが少なくなってしまった日本家屋に、懐かしさを感じます。

この公園に通じる道路は「八田路」と名付けられています。日本人の名前が道路名になっているなんて、なんか誇らしい感じがします。このようにいまだに沢山の人々に敬愛されている八田技師と烏山頭ダムのことは、台湾の歴史の教科書にも記載されているそうです。大正時代、東洋一大きなダムを台湾の地で日本人が建設していたなんて、素晴らしいと思いませんか?

台湾のステキな観光地に行くのはもちろん楽しいけれど、今回のように台湾における日本人の偉大な功績の地を訪ねる旅は、台湾の人々がなぜ親日家なのかを知るきっかけになるかもしれませんね。

※編集部より

烏山頭水庫へは台湾鉄道新市駅から路線バスがありますが、風景区内は広大なので、台南でタクシーをチャーターして見て回るとよいでしょう。