龍羽老師の台湾開運の旅|台北遊透隊|旅々台北

  • 店名:
  • 秋惠文庫
  • 住所:
  • 台北市信義路2段178號3F
  • google.map
  • tel:
  • 02-2351-5723

「台湾」を集めたコレクター。

あの小籠包で有名な鼎泰豊のすぐ近くの雑居ビルの3階に足を踏み入れると、そこはレトロなモノたちに囲まれ、時代を超越した異空間が出現する。 そのレトロなモノたちは、ひとことで言うなら、個人が収集したアンティークのコレクションなんだけど、個人のコレクションというにはあまりにすごすぎる歴史的な文化遺産ばかりで、これは、もうミニ博物館と言える。

さて、このミニ博物館(実はカフェなんだけど)のオーナー、つまりこれら貴重なコレクションたちの所有者である、林さん(台湾人)は、元々は歯科医で、日本にも留学していた。その留学中に沢山出来た日本の友人たちが来台の折に「台湾らしいものを見せてくれ」と言われて、ハッとしたという。台湾には世界4大博物館のひとつ「國立故宮博物館」があり、そこの展示品の数は莫大だが、それは「中国」の遺物であり、別に「台湾」でも何でもない。「台湾らしいものが見たい」と言われて、台湾では台湾らしいものを見せることができない、ということに気がついたそうだ。

台湾人の知らない台湾の歴史。

そもそも台湾の歴史は複雑で、この島には元々、先住民族(台湾では"原住民"という言い方をする)しかいなかったようだが、16世紀ごろには漢民族(中国人)が入って来て、生活を始めていた。その頃、ヨーロッパ列強諸国の大航海時代に入り、台湾にはオランダがやって来て植民地統治を始める。しかし、そのオランダ統治は僅か40年しか続かず、鄭成功という漢人がオランダを追い出し政権を握った。その鄭成功時代も短命に終わり、1600年代後半から1800年代後半までは中国の清朝が統治し、この時代に、多くの漢民族が大量移住する。そして、その後に起きた日清戦争の結果、台湾は日本に統治されることとなった(1895年-1945年)。わずか300年ちょっとの間に、このような目まぐるしい変化を経験したわけだ。そして第2次世界大戦後は、蒋介石時代を経て、李登輝元総統時代あたりから、今のような「台湾」になったと言える。

「台湾」には、わずかな期間にこのように変化にとんだ歴史があるにもかかわらず、「中国・北京の紫禁城」から蒋介石が持ち出したものが「故宮博物館」に収められてあるだけで、「台湾」を見られる場所がない、というのは残念なことだ。また台湾人も、学校の歴史教育の関係もあって、ちゃんとした台湾の歴史を知らない人たちが多いという。それで、外国人はもちろん台湾人にも本当の「台湾」を知ってもらわなければならない。 そういった動機でオーナーの林さんの「台湾」収集が始まったわけだ。

林さんが台湾各地や日本、ヨーロッパまで足を運び、収集に費やした時間は10年以上、そのコレクションは1万点以上にも及ぶ。もっとも古いものは、1670年頃のオランダ語で書かれた本だそうだ。そして、ここで一番多く、また、私たち日本人にとって目を惹くものは、やはり日本統治時代のものだろう。店内にはまるで竹久夢二の作品を見ているような、この時代特徴的な美人画のポスターが所狭しと貼られている。しかし、よく見ると「鈴木商店」なんて書いてあるではないか。鈴木商店と言えば、あの時代に台湾から樟脳やサトウキビを輸入した有名商社だ。歴史を感じるなぁ~ 他にアヘンの使用許可書とか、芸妓労働許可証なんていうのも、面白い。

また、現在多くの日本人在住者が夜な夜な集まる林森北路界隈は、当時は大正町と呼ばれ、日本人街だった。その頃の地図には、お店は元より個人宅一軒一軒にまで、ちゃんと名前が入っている。要するに住宅地図だ。「山田金物店」「大塚小児科」「佐藤宅」なんて感じにね。日本人って、昔から几帳面だったことがよくわかる(笑)。 他に台湾原住民の祭事の道具なども収集してある。

日本人にも知ってほしい事。

最初、林オーナーは友人知人だけに、これらの貴重な資料を見せていたそうだが、2010年から一般公開を始めた。前述の通りコレクションの多くのものは日本統治時代のものなので、日本の貴重な歴史を知ることもできる。台湾に来て日本を知る、というのもユニークな話だけど、私としては、日本人には特に日本と台湾の関係をきちんと理解して欲しい。そしてそれを知った上で、台湾という国が、日本の震災の時に世界一の多額の寄付をしてくれた親日国であることなどをしっかり胸に焼き付けて、台湾の人たちを見て欲しいのだ。

なお、ここのミニ博物館、なんと見学は無料、ではありますが、カフェコーナーを併設しているので、できたら、これだけのものを私費で集め、無料で開放してくれていることに感謝の気持ちを込めて、コーヒーの一杯くらいは、飲んで下さいなぁ。私は、ここで販売している絵葉書も数枚購入したよ。また、林オーナーに会えれば、これらのコレクションの解説や貴重なお話をしてくださるかも?

「台湾」って、楽しくてホットなところなので、来台の折には、思いきり満喫して欲しい、でも、楽しむだけじゃなくて、鼎泰豊の帰りにでも、ちょっとだけ、こういうところにも立ち寄って、「日本」や「台湾」を知ってもらえたら、嬉しい限りなのだ~

ちなみに、林さんは普段はお店にはいない。その上、展示品には何の説明書きも添えられておらず、系統だった展示もされていない。また、奥のほうにしまわれている貴重品も多い。なので、詳しく知りたい学術系の人はあらかじめ林さんにコンタクトをとっておくことをお勧めします。

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